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vol.45 絹糸の歴史

絹糸の歴史

絹糸は,蚕の繭からとった動物繊維です。独特の光沢を持ち、古来より珍重されてきました。蚕が体内で作り出すたんぱく質・フィブロインを主成分としますが、1個の繭から約800~1200mとれるため、天然繊維の中では唯一の長繊維(フィラメント糸)と言われます。

蚕の繭を製糸し、引き出した極細の繭糸を数本揃えて繰糸の状態にしたままの絹糸を生糸(きいと)といいますが、これに対して生糸をアルカリ性の薬品(石鹸・灰汁)などで精錬してセリシンという成分を取り除き、光沢や柔軟さを富ませた絹糸を練糸(ねりいと)と呼びます。ただし、100パーセントセシリンを取り除いたものは数パーセントセシリンを残したものに比べ、光沢は著しく劣ります。前者は科学染料、後者はいわゆる草木染めに向くが、歴史的に前者の手が用いられはじめたのは明治維新以降で、昔の文献や製品にあたる際、現在の絹織物とは別物に近い外観と性質を持つことに注意が必要です。また、養殖(養蚕) して作る家蚕絹と野生の繭を使う野蚕絹に分けられます。

絹の生産は紀元前3000年ころ中国で始まりましたが一説によれば紀元前前6000頃とも言われます。少なくとも前漢の時代には蚕屋での温育法や蚕卵の保管が確立しており、現在の四川省で生産が始まりました。

日本におきましてはすでに弥生時代に絹の製法が伝わっており、律令制では納税ための絹織物の生産が盛んになりましたが、品質は中国絹にはるか及ばず、又戦乱の為生産そのものが衰退していきました。このため日本の上流階級は常に中国絹を珍重しましたが、明治時代に日本との貿易が禁止になりポルトガル人に日中間の絹貿易を仲介してもらいました。

どんな物に使われるか

絹自体の光沢ある質感を最大に生かした本しゅす織り(サテン)生地の材料にする。東アジア、東南アジアでは楽器の弦の材料となり、日本では三味線、琵琶、胡弓、琴などの弦楽器の弦(和楽器では糸と呼ぶ)は全て絹製です。 日本画などの絵画で描く材料として絹が使われることもあります。それらで描かれた物は絹本と呼ばれます。カンボジアでは黄金色の絹が採取されます。

利点と欠点 利点としてまず軽くて丈夫で柔らかく吸湿性と通気性がたかく、染織性がいいのが特徴です。欠点のほうは家庭での洗濯が困難(水に弱いため)又汗によりしみになりやすく変色しやすい,虫に食われやすい、日光で黄変する、値段が高いという欠点があります。

絹鳴り

絹の布をこすり合わせると(キュッキュッ)と音がする。これを(絹鳴り)といいます。繊維の断面の形が三角形に近く、こすり合わせたとき繊維が引っかかりあうためで、凸凹のないナイロン繊維ではこのおとはしません。

HOSAI Co., Ltd.

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